菅組から季節ごとにお届けしている情報誌「おののぉ」。その中の「森里海から」というコーナーを私が担当させていただいてます。2012年冬号の1ページです。よろしかったらご覧下さい。
「あののぉ」PDF配信
香川県のあまり注目されていない財産の一つに「漁港」があります。豊かな漁場瀬戸内海をバックに香川の漁業は栄えました。「播磨灘」「備讃瀬戸」「燧灘(ひうちなだ)」という3つの海域に面し、それぞれの海岸線は複雑に入り組み起伏に富む海底は天然礁をつくり、多数の島々は、潮流の緩急に変化を与え、海水は周辺地域の河川から流入した栄養分のある水をたたえています。瀬戸内海は魚類が生息するのにうってつけの自然・地理条件をそなえているのです。
複雑に入り組んだ海外線には数多くの小さな漁港があります。それらの漁港は昔ながらの石積みの防波堤で入り江をつくり、静かな水面に漁船が浮かぶ光景は、青い海と空、小高い山と相まって瀬戸内海の漁港独特の風景を醸し出しています。そこには世間の喧噪から離れた一種独特のスローな空気感が漂っています。
漁師さん達の暮らしが息づいた漁港は、潮の干満や天候、停泊する漁船の数や夕日など刻の違いによる陽の具合、波の状態など一時たりとも同じ光景はなく、見ていて飽きません。人が漁業という生業を通して海やそこに生息すると魚介類と共生していることが、自然で美しい光景をつくりだしているのだと思います。
ここでもコンクリートの防波堤や護岸は景観を破壊します。それだけではなく、石積の防波堤は魚介類の生息空間(ビオトープ)として機能しますが、コンクリートのそれは生態系にも悪影響を与えます。美しい景色というものは自然と共生していることが必要条件であるとあらためて感じます。
今、昔ながらの石積の防波堤がコンクリートや魚礁にとって替わられようとしています。箱庭のような美しい景色としての漁港を後世に残していきたいものです・・・。
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